ある夜、リビングで静かに読書を楽しんでいた私は、壁の隅で視界を横切る高速の影に気づきましたが、それはあまりにも動きが速く、一瞬ゴキブリかと思いましたが、よく目を凝らすと三十本近い細長い足が波打つように動いているゲジゲジでした。部屋の中にこれほどまでに足の多い細長い虫が現れると、多くの人がパニックになり反射的に殺虫剤を撒き散らしてしまいますが、実はゲジゲジは家の中の衛生を守る最強の益虫であり、彼らがそこにいる理由は、私たちが最も忌み嫌うゴキブリやハエ、ダニなどを捕食するためだという事実を知ると、その評価は一変するはずです。ゲジゲジは視力が非常に優れており、獲物を見つけると瞬時に飛びかかって強力な毒で麻痺させる卓越したハンターですが、その毒はあくまで小さな昆虫を倒すためのものであり、人間に対しては極めて弱く、万が一噛まれたとしてもチクッとする程度で重篤な被害が出ることはまずありません。しかし、そのムカデをさらにグロテスクにしたような見た目から不快害虫として扱われ、殺されがちな損な役回りですが、私の経験上、ゲジゲジが部屋に出るということは、それだけ彼らの餌となる害虫が室内に潜んでいるという警告でもあります。私の格闘記録を振り返れば、ゲジゲジを無理に追いかけるのではなく、まずは彼の侵入を許したサッシの隙間や通気口の網の破れを特定して物理的に塞ぐこと、そして家の周りの落ち葉や湿った木材を除去して彼らの潜伏場所を無くすことが、遭遇回数を減らす最も効果的な方法でした。また、ゲジゲジは乾燥に非常に弱いため、部屋の除湿を徹底し、水回りの水分を毎晩完璧に拭き取るだけで、彼らは自ずと住み心地の良い屋外へと帰っていきます。私はあの日、捕獲器を使って彼を優しく庭の植え込みに逃がしてあげましたが、それ以来、家の中のゴキブリ対策を強化したところ、不思議とゲジゲジの姿もパタリと見かけなくなりました。ゲジゲジは私たちの掃除が行き届いていない場所を教えてくれるバロメーターのような存在であり、その見た目に惑わされず、共生するか、あるいは静かに退場してもらうかの選択を冷静に行うことが、本当の意味での豊かな暮らしを守るためのリテラシーだと感じています。深夜の黒い影に怯える日々を卒業するために必要なのは、殺意ではなく、家の構造を熟知し、自然と人間との境界線を正しく引き直す知恵なのです。
深夜に壁を走る足の多い細長い虫の撃退法