一度家の中に住み着いてしまうと、根絶が難しい紙虫(シミ)。彼らとの不快な遭遇を避けるためには、目の前の虫を駆除すること以上に、そもそも家の中に一匹も侵入させないための「予防」という考え方が何よりも重要です。シミが好む環境を家の中から排除し、侵入経路を物理的に塞ぐことで、あなたの家を彼らにとって魅力のない、侵入困難な要塞に変えることができます。予防の基本は、シミが好む三大条件「湿度」「暗闇」「餌」を、日々の暮らしの中で徹底的に管理することです。まず、最大のポイントは「湿気対策」です。シミは湿度が六十パーセント以下になると活動が鈍り、繁殖も困難になります。家全体の湿度を下げることを目標に、天気の良い日には積極的に窓を開けて換気し、空気の通り道を作りましょう。風呂場やキッチンでは、使用後に必ず換気扇を回す習慣をつけます。除湿機やエアコンのドライ機能の活用、押し入れやクローゼットへの除湿剤の設置も非常に効果的です。特に、冬場の結露は壁紙の糊を湿らせ、シミを呼び寄せる最大の原因となるため、見つけ次第すぐに拭き取るようにしてください。次に、「餌を断つ」ことです。定期的な掃除を心がけ、部屋の隅や家具の裏に溜まったホコリ、髪の毛、フケなどを除去しましょう。これらは全てシミの餌となります。また、小麦粉や片栗粉、乾麺といった食品類は、袋のまま放置せず、必ず密閉性の高い容器に入れて保管します。そして、最後の仕上げが「侵入経路の封鎖」です。シミは、屋外から様々なルートを通って侵入してきます。最も一般的なのが、通販などで届いた「段ボール」です。段ボールの波状の隙間は、シミにとって最高の隠れ家であり、産卵場所にもなります。不要な段ボールは家に長期間溜め込まず、速やかに処分することを徹底してください。古本や古着を家の中に持ち込む際も、虫や卵が付着していないかを一度確認する習慣をつけると良いでしょう。また、建物の壁のひび割れや、配管周りの隙間なども侵入経路となるため、パテなどで塞いでおくと万全です。これらの地道な予防策を習慣化することが、不快な同居人を招き入れないための、最も確実な方法なのです。
紙虫の侵入を許さないための予防策