ショウジョウバエ駆除の切り札として、古くからその絶大な効果が知られているのが「めんつゆトラップ」です。市販の捕獲器にも劣らない効果を発揮し、何より家庭にあるもので手軽に作れるのが最大の魅力です。しかし、ただ単にめんつゆを置いておけば良いというわけではありません。その効果を最大限に引き出すためには、ショウジョウバエの習性を利用した、いくつかの重要なポイントとコツが存在します。ここでは、失敗しないための正しいめんつゆトラップの作り方を、その科学的な原理と共に詳しく解説します。まず、なぜめんつゆがショウジョウバエを惹きつけるのか、その理由を理解しましょう。ショウジョウバエは、果物や樹液が発酵した匂い、つまり「酢酸」の匂いに強く誘引される習性があります。めんつゆには、原料である醤油やみりん、だしなどに由来する、発酵した匂いやアミノ酸の匂いが含まれており、これが彼らにとって非常に魅力的な香りとなるのです。準備するものは、空のペットボトル(五百ミリリットルが最適)、めんつゆ(三倍濃縮などが効果的)、食器用洗剤、そして水です。作り方は非常に簡単。まず、ペットボトルを上から三分の一程度の位置でカッターやハサミで切り離し、二つのパーツに分けます。次に、底側のパーツに、めんつゆを底から一センチ程度の高さまで注ぎます。そこに、めんつゆと同量程度の水を加えて薄めます。そして、ここが最も重要なポイントですが、この液体に食器用洗剤を数滴、静かに垂らします。洗剤に含まれる界面活性剤が、液体の表面張力を低下させ、一度トラップに着地したショウジョウバエが、液体から抜け出せなくなり、溺れさせるという重要な役割を果たすのです。この洗剤を入れ忘れると、彼らは液体の表面で餌だけを楽しみ、また元気に飛び立ってしまいます。最後に、最初に切り離したペットボトルの上部パーツを逆さまにし、漏斗のような形で下部パーツにしっかりと差し込めば完成です。この構造により、一度中に入ったハエが出にくくなります。設置場所は、ショウジョウバエが最も多く発生している、キッチンの生ゴミの近くや、果物を置いている場所の周辺が最適です。数日で驚くほどの効果が現れるはずですが、中の液体は腐敗するため、一週間程度を目安に新しいものと交換するようにしてください。