ある夏の夜、涼を求めてエアコンのスイッチを入れた瞬間、送風口から黒い物体がカサカサと這い出してきた。そんな悪夢のような経験はありませんか。実は、私たちの生活に欠かせないエアコンは、その構造上、ゴキブリにとって、屋外から室内へと安全かつ快適に侵入するための、絶好の「高速道路」となり得るのです。なぜ、エアコンがゴキブリの侵入経路となってしまうのでしょうか。その最大の原因は、室外機と室内機を繋ぐ「ドレンホース」の存在です。ドレンホースは、エアコン内部で発生した結露水(ドレン水)を、屋外へ排出するための管です。このホースの排出口は、通常、屋外で開放されたままになっており、ゴキブリをはじめとする害虫が、このホースをトンネルのように使って、壁を伝い、室内機へと到達するのです。ホースの内部は、常に湿っており、カビや汚れも溜まりやすいため、ゴキブリにとっては非常に魅力的な環境です。また、室内機と室外機を繋ぐ冷媒管などが、壁を貫通している部分にも、施工上の「隙間」が生まれがちです。この壁の穴を塞ぐためのパテが、経年劣化で剥がれたり、ひび割れたりすると、そこもまた、格好の侵入口となります。さらに、エアコンの室内機そのものも、ゴキブリにとっては快適な隠れ家です。内部は、ホコリやカビといった餌が豊富で、適度な湿度と暗さが保たれており、特に、長期間使われていないオフシーズンのエアコンは、格好の巣となってしまう可能性があります。エアコンからゴキブリが出てきたということは、あなたの家のセキュリティが、最も意外な場所から破られているという、紛れもない証拠なのです。